スピノサウルスは二足歩行だったのか?骨格から考察する実際
約1億年前にアフリカ大陸に生息した巨大肉食恐竜のスピノサウルス。
その大きさは全長12〜15mにも達し、巨大肉食恐竜として有名なティラノサウルスと同等です。
ジェラシックパークにも登場したことで広く認知されるようになり、特に子供に大人気です。
そのようなスピノサウルスですが、今回は2つの点にスポットを当ててみたいと思います。
ひとつは、「スピノサウルスは二足歩行なのか」という点です。
結果から言うと、現在ではスピノサウルスは四足歩行であったと言うのが定説となっています。
もうひとつは、「スピノサウルスは水中での活動も得意だったのか」という点です。
これも結果から言うと、スピノサウルスですが水中での活動を得意としていたと言うことになります。
では、それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう
スピノサウルスは二足歩行なのか
長年に渡ってスピノサウルスは二足歩行だったとされてきました。
子供たちにも大人気のジェラシックパークで登場するスピノサウルスは、二足歩行で元気に走り回っていました。
また、図鑑等に出て来るスピノサウルスも博物館にいるスピノサウルスもみんな二足歩行でした。
しかし、現在ではスピノサウルスは四足歩行であったと言うのが定説となっていますが、なぜそのように変わったのでしょうか。
それは、2014年にスピノサウルスの骨格全体を再現できるような、化石が発見されたことがきっかけとなっています。
世界的権威の学術誌「サイエンス」にシカゴ大学のチームが発表した内容によると、スピノサウルスが四足歩行であったとする理由は以下のようにまとめられます。
『スピノサウルスが二足歩行をするには、上体が重すぎて骨格上その重量を支えられない』
『スピノサウルスの背中には高さ1.8mにもなる帆があり、二足歩行をするには非常にバランスが悪い』
『スピノサウルスが二足歩行をするには足が短すぎて、重すぎる状態や悪いバランスに耐えられない』
と言うものでした。
このような流れから今では、博物館や図鑑等に登場するスピノサウルスはみんな四足歩行になっており、「どうぶつの森」のキャラクターのスピノサウルスも四足歩行の特徴である短い脚で描かれているのです。
スピノサウルスは水陸両用?水中を得意としていたか!?
では、もうひとつのスピノサウルスは水中を得意としていたか?と言う問題を見ていきましょう。
スピノサウルスは化石の発見された場所から水場に住んでいたことは分かっていました。
しかし、他の肉食恐竜と同じように陸上で他の動物を捕食していたと考えられていました。
ジェラシックパークでも陸上で活動するスピノサウルスが登場します。
しかし、これも世界的権威の学術誌『ネイチャー』に掲載された論文によって覆されるのです。
4月29日付で『ネイチャー』に発表された内容によると、どうやらスピノサウルスは水中でも活発に活動していたようなのです。
モロッコで国際研究チームが完全な尾を再現し、水中でその尾の模型を動かしたところ十分な推進力が得られたとそうです。
また、推進力が得られただけではなく、これまでに見つかっている大型恐竜の中で最も極端に水生に適応しているとのことです。
これらの事から、スピノサウルスは四足歩行だけでなく水陸両用の肉食恐竜として、その存在を塗り替えられるのかもしれません。
まとめ
今回はスピノサウルスを例にしましたが、過去のものでもうその姿を見ることが叶わないものに想いを馳せたり、また、それが当然とされてきたことが覆って新たな世界が見えて来ることが楽しいと感じられました。
まだまだ世界には、もう見ることはできないけど過去に確実に存在したものがあります。
恐竜に限らず、そのようなものに想いを馳せてみるのも楽しいかもしれませんね。